2014-10-27 眼をつむる降誕祭 ひびわれた 手鏡の中のレールを 蒼い猫が横ぎつていつた仰向けになつた ぼくのベツドの橇を索いてゆく 水銀のような細い手キシキシ キシキシ 湖の氷面鏡が歪むたびに 石膏の片脚が近づいてくるああ こんなにも揺れ合う 血の提燈を贈つてくれたナザレの隕星も凍るような 夜の天涯に佇ちつくす 老いた受難者よ人見勇詩集『襤褸聖母』より