覚書

知られていない人や作品を紹介したいです。

2014-11-03から1日間の記事一覧

埴原一亟「書けないの弁」(『文学無限』第十六号 昭和35・1・1)

同人雑記でもと言われたが、どうにも書けない。血圧が高いせいかもしれない。それとも入院中の妻のかわりに保育園という経営者とも小使ともつかぬ仕事をやつているからかもしれない。 書くからには思いきつて力をいれた小説をと意気込んでいるわけではないの…

悪い鏡

どうして 幕間に逝く光を断念出来よう あたらしい 雪の結晶の斧に 茫然と 不 信の頭蓋をうち砕かれた 僕の精神の位置は 家庭という かなしく生きている 人間の 格子にとつては まるで水葬がふさわしい 筋のわからぬいつぴきの獵犬 うすい寵愛の 皿 手入れの…