覚書

知られていない人や作品を紹介したいです。

編輯後記(近重憲太郎?)『翰林』s8・9・1 第一巻第二号

 新秋の風に托して第二號を送る。小説欄は寂しいが、書く筈だつた秋澤三郎は愛妻の獨立展制作の監督、衣卷省三は東京灣ヨツト周航、近藤一郎は珍らしく社會見學のための新聞社づとめ、岩下明男はデリケエトなからだを暑氣にやられて等々の理由で原稿ができなかつたためだ。海や山へ行つた連中はそろぞれ自然の氣を吸ひこんで歸つてくるし、東京にとどまつて、街路もとける暑氣を征服した連中はその元氣でやつて、次號は一層いい雜誌を作りかくて現在の純文學更生の役割を大いに肩にかついで行くことを期待してもらはう。